
こんにちは、ケア人あがちょ(@careninagacho)です。
高齢者が入所できる施設をご存知でしょうか?
身体的な介助の頻度や認知症の状態など、家族の負担も増加していく中で、自宅生活が困難となってくれば施設への入所も必要な判断となります。
高齢者が入れる施設と言っても、何種類かあります。

今回は特別養護老人ホーム(略して特養と呼ばれている)についてご紹介したいと思います。特養入所を考える時に、事前に確認しておきたいポイントを押さえておきましょう。
自宅介護の理想と現実

高齢者の人の声では、

「自宅でできる限り暮らしたい」「住み慣れた環境で過ごしたい」
という意向は多くの方が抱く思いです。
家庭の事情や家族間の関係性によっても違いを感じますが、本人の体が不自由になったり、認知症に伴う物忘れや理解力の低下が増えたりと、介護が少しずつ必要になっていく中であっても、出来る限り自宅で見てあげたいと頑張る家族。
社会問題の一つでもある”介護離職”を選択され、介護中心の生活になる人も少なくありませんよね。
ただ、頑張り過ぎてしまうが為に、介護する家族の健康状態の悪化や精神的に不安定になってしまう事が危惧されます。
介護生活はいつまで続くか分からない中で、家族自身の体力や健康面での不安は、月日が経つにつれて大きくなるのではないかと思います。
理想と現実のギャップに悩まれる・・
自宅での介護は、簡単なことではありません。
介護する側の人間が潰れてしまう前に、施設への入所の確認と申請をお勧めします。
特養について

特養って名称は、介護を受けれる施設の中では比較的よく知られていますね。
正式名称は、特別養護老人ホームです。
専門的な話をすると、「特別養護老人ホーム」は老人福祉法上での名称であり、、介護保険上では介護老人福祉施設と言います。※ここからは、よく知られている特養で通します。
ひと昔前には、「何百人も入所を待っている」「何年も待っても入れないよ」・・
なんて話を聞くこともありましたが、最近ではそんなケースは少なくなってきた様子です
2015年の改正の際に、入所条件が介護度3以上の中重度者に限るという要件が追加されたこともあり、それまでは日本全国で約52万人の人が入所待ちしていましたが、30万人弱まで激減したと言われています。
その為、地域によっては空きがあったり、申請後に直に入れることだってあり、以前では考えられませんでしたが、特養の相談員が営業に回るなんて事も見られるようになりました。
特養の特徴は?
特養は常時介護が必要な人に対して、入浴・排泄・食事などの身体介護や、機能訓練、健康管理などのサービスも受けることが出来ます。
まずは、特養の特徴を知りましょう。
1⃣要介護3以上の中重度者が対象の為、歩く事が出来なくても、寝たきり状態の方でも受け入れ可能で、24時間の手厚い介護が受けられる。
2⃣中重度者になり、最後を迎える時でも看取り対応が原則的に可能。
3⃣料金面において、軽減制度(特定入所者介護サービス費と言う)がある為、1か月の入所費用が他の施設と比べて安価である。
4⃣従来型特養とユニット型特養とある。今ではユニット型が制度化されたため、10名程度を1ユニット(グループみたいなもの)として少人数制で介護を提供している。
5⃣「地域密着型介護老人福祉施設」という定員29名以下の小規模な特養がある。入所資格は、施設と同じ住所地に住まいのある方が対象。
6⃣基本的には、要介護3以上の人が入所対象者ですが、要介護1・2の人であっても、やむを得ない事情がある場合には特例的に入所できるケースもあります。
入所前に確認しておきたいポイント
以前のように、何年も待たなくても入所できたりもしますが、かといって「明日から入れたい」と言って入れる訳ではありません。
ある程度先を見越して、入所申し込みをされると良いか思います。
入所申し込みをする時に、確認をしておきたいポイントを押さえておきましょう。
1⃣特養は医療施設ではない為、医療が必要になった場合など、どこまで対応が可能なのか?
2⃣最後の時、看取り期まで対応してくれるのか?
3⃣食費や居住費、介護費用など以外で、自費でかかる費用。「こんな費用も取られるの?知らなかった・・。」とならないように。
4⃣設備面の確認。古い施設と新しい施設では、明らかに設備面の違いもあります。部屋に用意されている介護用ベッドも気になります。設備だけではなく、ちゃんと掃除されているのか、汚れや埃がそのままになっていないか?
5⃣外に連れ出す機会はあるのか?施設に入ったら、外の空気さえ吸えない環境ではないか?
この他にも見学に伺った際に、気になる事や確認しておきたいことがあれば、相談員へ気軽に確認してください。
入所費用について

入所にあたり必要となる費用はどのくらいかかるのかは、大変気になる点だと思います。
特養は、居住タイプ部屋(個室や多床室など4種類あり)により費用に違いや、入所者本人やその家族世帯収入や所得合計によっても、受けられる軽減制度もあります。
入所料金を下げられる軽減制度のご紹介
1⃣特定入所者介護サービス費
第1段階(生活保護受給者など)~第4段階(負担限度額なし)までありますが、対象となるかは行政への申請により判断されます。必要書類は、介護保険負担限度額認定申請書、本人や家族の通帳写し、株式等の有価証券の申告も必要となります。
対象者となれば、特養などのショートステイ(短期入所生活介護)の利用時にも使えますので、食費や滞在費の費用を抑えることが出来ます。
■対象外となるケース
・預貯金が単身で1,000万円超、夫婦で2,000万円超の場合。
・世帯分離をしていても、配偶者が住民税課税世帯の場合
2⃣高額介護(介護予防)サービス費
1か月の間に支払ったサービス料金が高額となった場合、合計して上限額を超えた場合は、申請によって超えた分が「高額介護サービス費」として後から支給を受けることが出来ます。
同じ世帯でのサービスの利用者が複数いる場合は、自己負担額の世帯全員分を合計できる場合があります。
※注意点としては、
サービスを利用してから原則として2年以内に申請が必要。
保険料の滞納により給付が制限されている場合は、高額介護(介護予防)サービス費が支給されない場合があります。
■対象外となるケース
・福祉用具購入費、住宅改修費の自己負担分は対象外。
・施設サービス費等の食費や居住費(滞在費)、その他の日常生活費。
・要介護状態区分ごとの支給限度額を超えて、サービスを利用した時の利用者負担分。
3⃣高額医療・高額介護合算制度(高額医療合算介護サービス費)
介護保険のサービス費用と医療保険の医療費の自己負担額を年間で合計して、限度額を超えた場合は、申請によってその超えた分が後から支給される制度です。
計算期間は、毎年8月から翌年7月の12か月間です。
同じ世帯で介護保険と医療保険の両方に自己投資額がある世帯が対象となります。
■対象外となるケース
・福祉用具購入費、住宅改修費の自己負担分は対象外。
・施設サービス費等の食費や居住費(滞在費)、その他の日常生活費。
・要介護状態区分ごとの支給限度額を超えて、サービスを利用した時の利用者負担分。
・入院費の食事代や差額ベッド代
人によって何年間の入所期間を要するのかは誰も分かりません。
長い期間入所する場合は、特に軽減制度が活用できるのであれば、総額がかなり変わってくるかと思います。
制度が活用出来るのか否かは、申請してみないと確定できない為、詳しくはお住いの行政窓口にご相談ください。
まとめ

ここまで特養の紹介をしてきました。
❶特養の特徴。
❷入所前に確認しておきたいポイント。
❸入所費用について
もちろん入所先の施設は特養だけではありません。
入所についての目的や入所できる対象者にも違いがあります。
特養は中重度者を対象としており、基本的には最後の時まで入所が出来ますが、似たような施設と思われている老健(介護老人保健施設)の目的は、あくまでも自宅生活への復帰を目指している施設です。
介護に携わっていない限り、そういった制度上の違いは分かりませんよね。
細かな点や決まり事、使える制度などは担当者から直接聞くことにより理解が深まりますので、今後入所を少しでも考えている方は、お気軽に相談され施設内の見学をしてみて下さい。


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