
どうも、ケア人あがちょ(@careninagacho)です。
介護の仕事は人相手の仕事であり、感情労働ですので利用者や家族への配慮や緊張による精神的な負担や、夜勤がある場合は特に、日夜のリズムが崩れ体調を悪くする事もあります。
この心身の負担やストレスを蓄積させず、気持ちの切り替えをする為には、当たり前の事ですが『休む事』が重要です。
では、皆さんの職場では、ちゃんと休めますか?有給休暇は取れていますか?

長く仕事をする上では肝心な事です。初めて就職する場合や転職の際にも事前にチェックしておきましょう。有給休暇の事もお伝えします。
疲労とは?

「疲労とは、過度の肉体的および精神活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である」と定義されています。
引用:日本疲労学会
現代はストレス社会であり、心身の疲れを拭い切れず、日頃から「疲れた」と口癖のように言われている人もいます。
誰もが疲れが溜まると、さまざまな影響を及ぼす事にも繋がります。
- 適切な判断が出来なくなる。運転中は要注意。
- イライラしてしまい、人や物に当たってしまう。
- 精神的に追い込まれたり、鬱的症状に陥りやすくなる。
- 持病の悪化や病気の併発。etc
人間にとって〈ほど良い疲れ〉は生きていく上で必要不可欠ではありますが、休みもなかなか取れずに過ごしていると、自分自身が感じている以上に疲労が溜まっている事もあります。
特に精神的な疲労には要注意ですね。
普段は気持ちの余裕があれば、イライラした感情はコントロールしやすくもなりますが、疲労が蓄積している状態では、そんな余裕も生まれにくくなってきます。
その結果、利用者や後輩・部下への配慮ない言動へと繋がってしまう事も考えられます。
仕事は生活していく上では欠かせない活動ですが、休むこともままならず働くことは、その後の生活に多大な悪影響を被る形ともなります。
気持ちの切り替えや体を休める時間を確実に確保するためにも、有給休暇などの受けられる権利を知っておきましょう。
休日・休暇について

疲れやストレスを溜めずに暮らすのは、体も心も休ませることは重要です。
介護の仕事は人手不足により、有給休暇が取りずらい職場は少なくありません。
何だったら、有給休暇どころか月に定められている公休消化も出来ていない事だってあり得ます。
そんな職場では、職員の定着率も悪いでしょうし、余計に休みづらい環境に拍車がかかるという負のスパイラルに陥ります。
休日の設定について、労働基準法第35条では、休日は、原則とて毎週1回以上与えなければならいとされています。ただし、4週間に4日以上の休日を確保する4週4日の変形休日制も認められています。
中には自分が働いている会社の年間の公休日数を知らないという職員の声を聞いたことがあります。
休み日数を気にせずに働ける事は、ある意味、働き良い環境だから気にならないのかもしれませんが、会社ごとで定められた公休日や働き手の権利である有給休暇の事を認識していないのは損をする事にも繋がります。
最低限の事は確認しておいた方が良いかと思います。
■労基法第34条 :休息
・休憩は確実に取得させる
・最低基準の休憩時間(労働6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間)
・休憩は、労働者の自由利用。
・夜間時間帯や利用者の食事時間帯においても、休憩を確実にとる事。
■労基法第35条 :休日
・労働者に、毎週少なくとも1回の休日を付与する必要がある。
・4週間を通じ4日の休日を与える事も認められる。
誰しもが疲労が蓄積すると、能率も低下します。
蓄積した心身の疲労を回復させるには、確実に休憩時間や休日、また与えられた休暇を取得してください。
有給休暇
有休とは、年次有給休暇の事を言います。
2019年4月から働き方改革関連法の一つとして、年次有給休暇の取得に関してのルールが定められています。
そのルールとは「全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、付与されるうちの5日については、使用者が時季を指定して取得させなければならない」と言うものです。
有給取得は労働者の権利ですので、雇用者が「有休は認めない」という事は労働基準法違反にも繋がりますので、労働者はしっかりと権利を主張しましょう。
■労基法第39条 :年次有給休暇
・一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復し、ゆとりあり生活を保障するために付与される休暇。
・取得しても賃金が減額されない休暇。
・有給休暇が付与される要件(①雇い入れの日から6か月経過していること。②その期間の全労働日の8割以上出勤した事)
ちなみに、8割以上出勤したかどうかの計算は、以下の項目について労働基準法の定めなどにより、出勤したものとして取り扱う必要があります。
①業務上の傷病により休業した期間 ②産前産後の女性が労働基準法第65条の定めにより休業した期間 ③育児・介護休業法に基づく育児・介護休業期間 ④年次有給休暇を取得した期間 ⑤無効な解雇により就労する事が出来なかった期間
有給休暇の付与日数
有給休暇の日数は、働き方によって付与される数が変わってきます。
付与される起算日は、入社後、半年経過された日から発生します。
雇入れの日から起算した勤続期間 | 付与される休暇の日数 | 保有できる合計日数 |
(入社後)6か月経過 | 10日 | 10日 |
1年6か月 | 11日 | 21日 |
2年6か月 | 12日 | 23日 |
3年6か月 | 14日 | 26日 |
4年6か月 | 16日 | 30日 |
5年6か月 | 18日 | 34日 |
6年6か月 | 20日 | 38日 |
7年6か月 | 20日 | 40日 |
6年6か月以降は、1年毎に20日が付与されていきます。そして、合計40日間の有給休暇を保有する事ができます。
40日間以上は保有する事は出来ず、有休を使わなければ有休自体が消滅(※)していきます。
※有給休暇は2年分までしか保有できませんので、古いものから消滅していきます。
例えば、5年6か月目に18日間の有給が発生しますが、そのタイミングで3年6か月目に得た14日分の有給が消滅する事で、合計34日間の保有日数となる訳です。
パート労働者の有給日数
当然ながら、パートタイマーであっても働ける所定労働日数に応じますが、有給休暇は付与されます。
週所定労働日数 | 1年間の所定労働日数 | |||||||
0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5以上 | ||
4日 | 169日~216日 | 7 | 8 | 9 | 10 | 12 | 13 | 15 |
3日 | 121日~168日 | 5 | 6 | 6 | 8 | 9 | 10 | 11 |
2日 | 73日~120日 | 3 | 4 | 4 | 5 | 6 | 6 | 7 |
1日 | 48日~72日 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 3 |
※例えば、週3日勤務の人が入社後3年6か月の勤続をされた際に付与される日数は8日です。
そのタイミングで保有できる合計日数は14日間(前年の6日分と、今回の8日分の合計)となります。
なお、先にも述べている通り、今回の働き方改革関連法による、有給休暇の消化義務が発生している日数は年10日以上の人に対しての消化義務ですので、パート労働者で10日間の付与日数が起算されない人に関しては、対象外となります。
対象外とは言え、有休を消化する事は労働者にとっては与えられた権利ですので、付与日数が10日間に満たない方であっても、しっかりと取得していきましょう。
罰則まで⁉

では、有給休暇を取らせないと、使用者側(会社)にとってどんな罰則があるのでしょうか?
違反条項 | 違反内容 | 罰則規定 | 罰則内容 |
労働基準法 第39条第7項 | 年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合 | 労働基準法 第120条 | 30万円以下の罰金 |
労働基準法 第89条 | 使用者による時期指定を行う場合において、 就業規則に記載していない場合 | 労働基準法 第120条 | 30万円以下の罰金 |
労働基準法 第39条 (第7項を除く) | 労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を 与えなかった場合 | 労働基準法 第119条 | 6か月以下の懲役または 30万円以下の罰金 |
罰則を受けないようにし、有給休暇の取得を推進させる為には環境整備をする必要はありますが、あくまでも罰則を回避する事自体が目的では無いはずです。
年次有給休暇の取得は労働者の心身の疲労の回復、生産性の向上など労働者・会社双方にとってメリットがあります。
とは言え、権利ばかり主張して特定の人ばかりが休めて、逆に休みずらい人の差が出てしまえば、不平不満の基となります。
管理者や権限者はそういった声にもしっかりと耳を傾け、不平等にならないようにバランスを取っていく事も役割だと感じます。
まとめ

ここまでお読みいただきありがとうございました。
この記事では、有給休暇について説明してきました。
❶付与日数は。
❷パート労働者の場合。
❸有休を取らせないと企業には罰則がある。
以上です。
働き方改革により、以前よりは有給が取りやすくなった企業が増えました。
しかし、介護業界は人相手であり、制度上、利用者数に対しての必要な介護者数の決まりもある中で、一人の退職や欠勤などがあれば、他職員へのシワ寄せが出やすい職業でもあります。

人手不足で休みがとりずらい ⇒ 休みずらいから心身ともにストレス・負担が蓄積 ⇒ しんどくなり辞める ⇒ 人手不足・・・
まさに負のスパイラルです( ;∀;)
そうなる前にも、辞めない環境を整える事が課題となります。
休み易い環境、有給休暇も確実にとる事で、オンとオフをしっかりと切り替えられ、心身ともに疲労を蓄積させない環境が求められます。
その為には、年5日の年次有給休暇の取得はあくまで最低限の基準です。
5日にとどまることなく、労働者がより多くの年次有給休暇を取得できるよう、環境整備に努める必要はありますね。
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