
どうも、ケア人あがちょ(@careninagacho)です。
日々、介護の仕事に従事していると、
利用者との関りの中で、馴れ合いが生じてしまうなんて事はよく聞く事です。
その慣れが良い意味を持てれば良いのですが、時には利用者の声や気持ちに対して、
「また言ってる・・」「さっきも聞きましたけど・・」「聞き飽きた・・」
なんて事を思いながら、接していませんか?
まさか、口にしていませんか?

今回は介護の基本ではあるが、とても重要なスキルである傾聴について記事を書きたいと思います。
傾聴とは?

傾聴とは、相手のいうことを否定せず、耳も心も傾けて、相手の話を「聴く」会話の技術を指す。意識すべきなのは、相手に共感し、信頼していると示すこと。経済産業省が、「職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事するうえで必要な基礎的な能力」として提言している「社会人基礎力」の要素にも、「傾聴力」が含まれます。
引用:『コトバンク』
読んで字のごとく,耳と目を使い、心を十分に相手の気持ちに傾けて聴く事を言います。
目と耳を使う・・
つまり、その場で『話し相手』の人に向き合っていないと出来ないことですよね。
傾聴するっていう事は、流し聞きや、ながら聞きをしている状態ではありません。
介護の仕事は、食事、排泄、入浴などの各介助業務から、レクリエーション、シーツ交換や掃除・・
一日の業務を慌ただしく過ごしています。(当然、その施設ごとで差はありますが)。
そんな中で、利用者からの話や訴えをながら聞きしている状態が当たり前となっているかもしれません。
傾聴が生むメリット

とは言え、「傾聴する」と軽々しく言えるほど、傾聴は簡単な事ではありません。
だって傾聴するって事は、その相手と向き合う必要がありますよね。
・忙しい業務の中で、向き合う時間を確保する事。
・幾度となく同じ話を聞く場面も出てくるでしょうから、忍耐力も必要です。
・ただ話を聞くわけではなく、相手の気持ちを理解しようとする姿勢、受け答え。
・相手の立場に立って、共感しようとする姿勢。etc
傾聴力を磨く事は、対人業務の中でとても大切なポイントになります。
では、傾聴を心がける事で、どんなメリットがあるのでしょうか。
利用者や家族から信用されやすくなる
傾聴は、ただ聞いている状態ではありません。
熱心に話を聞いている状態、気持ちを汲み取ろうとしている状態を言いますので、話相手からしたら

「この人は私の話を真剣に聞いてくれる」
「私の気持ちに寄り添ってくれている」
と感じさせる事にも繋がります。
『話を親身になってよく聞いてくれる』と思われれば、自ら進んで会話をしてくれる事もあり、会話を通じて、その人自身の気持ちや意向等が具体的に見えてくるものです。
職員関係が良くなる
介護は対人業務であり、職員同士の連携は必須であり、チームケアの重要性が高い職業です。
当然、一人ひとりの経験値や価値観も違えば、性格もそれぞれですよね。
一人の経験豊富者の意見が全てではありませんし、独り善がりな介護になってしまっていたら目も当てられません。
職員間の関係性を良くして、連携を図りやすくする為には、経験値が豊富な職員であっても、新人の意見や考え方にも、しっかりと耳を傾ける事が重要です。

「この先輩はよく話を聞いてくれる」「分からない事は相談しやすい」
「困った時にも信頼できる」
そんな風に感じてくれる上司・先輩・後輩の関係性が強くなれば、良いチーム(組織)に育っていくのではないかと思います。
情報を正確に得る事で共通認識がアップする
仕事をしていると、いろいろな情報が入ってきます。
介護業務においても、得た情報を共有する事でミスが減ったり、利用者へ迷惑を掛ける事も極力減らす事にも繋がります。
「家族は、そんな事言ってなかったよ。」「ちゃんと聞いた?」
先輩や上司からそんな事を言われた事はありませんか?
話しをしっかり聞かなければ、大事な情報も漏れやすく間違いの元となり、迷惑を掛けてしまいます。
相手の話したい事、伝えたい事に対して熱心に聞く事ができれば、伝えようとされている内容の理解が深まります。
理解できた内容をチームで共有する事で、認識違いを減らす事ができます。
傾聴が出来ないデメリット

では、逆に傾聴が出来ない人が、介護をするとどんなデメリットがあるのでしょうか。
信頼関係が築きにくい
先程とは逆で、話し掛けても反応も薄い人、聞いてもらいたい事があっても共感する様子も感じない上っ面な対応の人に対しては、決して相談しやすい関係性を築ける気がしません。
前のめりに親身になって話を聞いてくれる姿勢がなければ、相談したくても躊躇しちゃうんじゃないかと思います。
家族の心配事や困っている事の窓口となって話を聞く相談員にとって、傾聴の重要性は当たり前のように認識しているとは思います。
窓口となる相談員の姿勢を見て、

「この施設は安心できそう。しっかり話を聞いてくれている。」
or
「この施設に入れて大丈夫かな?なんか不愛想だし・・」
と印象付けてしまう事もありますので、担当される方は今一度自分自身の対応を見つめ直して欲しいと思います。
チームケアが弱体化する
介護は利用者・入居者をチームで支える仕事です。
職員間での連携が取れてこそ、安心・安全に介護を受けてもらえる事にも繋がります。
新人には新人なりの見え方や捉え方があり、ベテランは経験や知識の中で確固たる自信が邪魔をする場合もあります。
新人の意見や感じ方に耳を傾ける事は重要ですし、先輩・上司としての役割でもあります。
チームとして一緒に問題をクリアしていかないと、より良いチームケアを築くことは難しい事です。
傾聴力を上げるコツとは?

介護を提供している者として常に思う事は、快く・心地良く介護を受けてもらいたいですよね。
その為には、相手から信用・信頼を得る為の関わり方として、『傾聴』の重要性を繰り返し説明していますが、そんな傾聴力を高めるコツをお伝えします。
話し相手の目を見て聴く
会話は相手の目を見て話すことが基本とされていますが、ずっと見過ぎると逆に話しずらくさせてしまうかもしれません。
話されている方の目を見ては、適度に反らす事も必要です。
そして視線を合わせる事も重要です。
ベッドで横になっている場合や椅子に腰かけている場合などでも、決して上から見下ろす姿勢で聴く事はしてはいけません。
同じ高さ、もしくはその人よりも自分が低い姿勢をとり、必ず目線を合わしましょう。
話しやすい雰囲気(表情)で聴く
特に今はマスク着用が基本ですので、表情が読み取りにくいですよね。
でも、マスク付けていても、怒っている人と笑っている人の違いは認識できるかと思います。
表情が柔らかいだけで、話しやすくなります。
表情だけではなく、聴く姿勢にも気を付けましょう。
腕を組んだり、足を組んだりはNGです。
うなずいたり、身振り手振りなどのジェスチャーもなく、ジッと聴いている状態も不自然です。
相づちを打つ
相手が一方的に話をされる場合にも、適度に「はい」「そうですね」「なるほど」などの相槌を打つことで、
「ちゃんと聞いてもらえている」「理解してくれようとしている」
と感じ取ってもらいやすい関係性を築きやすくなります。
話を遮らない
話の途中で話を遮られたことで、その後は話したくなくなった経験はありませんか?
折角、自分自身をさらけ出して話していたり、困っている事を伝えようとしていても、話を割られると
「もう話すのや~めた”(-“”-)”」
と思われる場合もありますので、気を付ける必要があります。
適度なオウム返し
オウム返しとは、相手の言葉をそのまま繰り返して伝えることを言います。
例えば、

おばあさんが家に居てばかりで、認知症が進んでいきそうだよ。
どこか通える場所はないの?

家に居る事が多いんですね。
認知症が進む事も心配ですよね。
といった具合です。
オウム返しを上手に使う事で、相手には安心して話してもらう事もできます。
受け手が共感してくれていると実感できると、「こんな事も聞いてもらえるのかな?」と話し手の本心も覗かせてくれる事にも繋がります。
とは言え、何度も何度もクドイぐらいにオウム返しをしていると「ウザイ」と思わる場合もありますのでご注意を。
最後に「伝えてくれてありがとう」という感謝の意思表示

「話を聴かせてくれてありがとう(*’▽’)」
「また話を聞かせて下さいね!」
の気持ちは忘れずに対応すると良いかと思います。
利用者や家族からしたら、本当は話したくない事もあるでしょう。
本当は黙っておきたい家庭の諸事情もあるかもしれません。
そんな気持ちの中で、真剣に話をしてくれている事に対しての感謝の気持ちを伝える事で、話をしてくれた相手は嫌な気持ちにはならないと思います。
まとめ

ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
この記事では、
①傾聴とは?
②傾聴が生むメリットとデメリットについて
③傾聴力を上げるコツ
という感じで、傾聴の重要性を説明してきました。
聞く、訊く、聴く
日本語の意味はそれぞれです。
繰り返しになりますが、利用者や家族の気持ちに寄り添い、共感したり、安心してもらう為の技法は、『聴く』です。
介護を提供する側の人間として信頼関係をガッチリ築くためにも、『聴く』技法が自然と出来るようになると良いですね。
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