
どうも、ケアニンあがちょ(@careninagacho)です(^^♪
突然ですが、成年後見制度って聞いたことはありますか?
○○制度っていうワードは小難しく感じるので、必要な場面に出くわさない限り、詳しく知ろうとは思いませんよね。
成年後見制度は、対象者本人の気持ちを大切にして、生活や財産を守る為の、身上保護(監護)や財産管理などを行う為の制度です。

今回は、成年後見制度にフォーカスして説明したいと思います。
●成年後見制度には、補助・補佐・後見と分かれており対応できる範囲が違う。
●後見制度を活用する際の手続きの流れ。
成年後見制度の概要

1人暮らしや高齢者世帯、身の回りに身内がいない等、日々の生活に不安がある人は少なくありません。
特に公的な書類や契約、金銭の関係の手続きも大きな負担になります。
そういう場合には、安心して任せられる人が近くにいると心強いのではないでしょうか。
そんな時に活用を検討したい制度、それが成年後見制度です。
対象者は?

どんな人が制度を活用できるの?
ウチのおじいちゃんは利用できるの?
対象者は、判断能力の低下が認められる人となります。

判断能力が低下している状況であれば、対象者となる可能性があります。
まずは、お近くの窓口にご相談ください。
■認知症の高齢者(アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症など)
■知的障碍者(療育手帳をお持ちの人)
■精神障碍者(躁鬱病、統合失調症など)
■高次脳機能障碍者(ケガや病気で脳に損傷を負い、知的に障害を来している状態)
ちなみに、制度を活用している対象者の最も多い事由は、認知症の人です。
法定後見制度と任意後見制度
成年後見制度には、大きく分けて2種類の制度があります。
法定後見制度と任意後見制度と言います。

制度の違いを確認してみましょう。
法定後見制度は判断能力低下の後
認知症などにより判断能力が低下して、契約(入居時の契約など)などの法律行為ができなくなる等、本人の生活に支障が出てきた場合、配偶者や4親等以内の親族(本人の親、子、孫、ひ孫、兄弟姉妹、おじ、おば、いとこ等)が、家庭裁判所に申し立てる(制度を使いたい事を告げる)事によって利用ができます。
また、親族がいない人、いても協力が得られない人に関しては、市長や町長などが申し立てる形となります。
任意後見制度は判断能力低下の前
加齢に伴い、物忘れや判断力の低下を危惧する人が、判断能力がしっかりしている時に、本人が自ら、後見人となってくれる人を選び、その人と契約をしておく制度です。
実際に本人の能力が低下した時点で、先に決めていた人が任意後見人となり、契約に沿って支援を行います。
成年後見制度の3類型

制度を活用するには、判断能力の低下が必要だと分かりました。
また、判断能力の差に対して、受けられる支援内容にも違いがあります。
補助
●判断能力が不十分な人(軽度の認知症の人や、軽度の知的障碍者など)
(例)日常生活の買い物は問題なく行えるが、高額な買い物は不安
補佐
●判断能力が著しく不十分な人(中度の認知症の人や、中度の知的障碍者など)
(例)日常生活の買い物は問題ないが、高額な買い物にはサポートが必要
後見
●判断能力が全くない人(重度の認知症の人、重度の知的障碍者など)
(例)日常生活の買い物はできない。
※いずれの類型になるかは、主治医の医学的な判断を参考にするなどし、最終的には家庭裁判所が決定します。
尚、それでも判断が難しい場合は、鑑定が行われる場合もあります。この場合は、鑑定費用が掛かります。

支援内容は大きく分けて2つ

ここからは、成年後見制度による支援内容を確認してみましょう。

大きく分けて2つあります。
『身上保護(監護)』と『財産管理』です。
詳しくお伝えしますね。
身上保護(監護)
医療や介護、食事や買い物、住まいや余暇などの日常生活上の選択と決定をサポートしたり、本人が自分らしく暮らす為に必要な手続きをする事を言います。
財産管理
本人の預貯金や不動産などを安全に管理し、利用または処分する等、本人に代わって行うことを言います。
表で見てみましょう↓
補助 | 保佐 | 後見 | |
対象となる人 | 判断能力が不十分な人 | 判断能力が著しく不十分は人 | 判断能力が全くない人 |
成年後見人等が同意 又は取り消すことが できる行為(※1) | 申立てにより裁判所が 定める行為(※2) | 借金、相続の承認など、民法 13条1項記載の行為のほか、 申立てにより裁判所が定める 行為 | 原則として全ての法律行為 |
成年後見人等が代理 することができる 行為(※3) | 申立てにより裁判所が 定める行為 | 申立てにより裁判所が定める 行為 | 原則として全ての法律行為 |
※1 日常生活に関する行為(日用品の購入など)は含まれない。
※2 行為とは(借金、相続の承認や放棄、訴訟行為、新築や増築など)の一部に限ります。
※3 本人の居住用不動産の処分は、家庭裁判所の許可が必要です。
具体的な支援内容
例えば、こんな事まで・・
◎生活状況の把握
◎本人の家族、介護サービス、医療関係者加との連携
◎本人の気持ちや要望の代弁 etc
◎福祉サービス利用の選択をサポート
◎ケアマネジャーや介護保険サービス事業所との契約
◎バリアフリー工事(住宅改修)などの契約 etc
◎病院の受診や入退院の手続き
◎受診結果の把握、治療方針や治療方法の確認
◎病衣やタオルのレンタル契約 etc
◎年金の振り込み手続き・受け取り
◎公共料金、介護サービスの利用料、医療費などの支払いや振り込み
◎銀行から現金を引き出して本人へ渡す
◎保険金の受け取り手続き
◎ヘルパーに買い物依頼をする際にお金を預ける etc
◎役所や年金事務所などから届く書類の確認
◎介護保険などの手続き
◎通帳、ハンコ、保険証書、年金手帳などの保管
◎賃貸借契約や更新、管理会社とのやりとり etc
◎本人が行なった法律行為を不利益なものだと判断した際に取り消し
※但し、日常生活に関する行為は、取り消しする事ができません。
(日常生活に関する行為として)
医療費や薬品の支払い、食品や衣料品の購入、電車やバスなどの利用料の支払いなどは、取り消すことが出来ません。
(日常生活に関する行為とは言えないこととして)
高額な物品の購入行為、クレジットカード会員の加入行為などは、取り消すことができます。
◎病院や施設への支払いや精算
◎相続人への財産引き渡し(いない場合は、相続財産管理人選任の手続きと財産の引き渡し)
◎身寄りがない場合は、家庭裁判所の許可をもらい、火葬や埋葬の手続き(成年後見のみが対象)
支援できない事(含まれていない事)
■医療の同意
手術や注射(インフルエンザ予防接種含む)等の医療行為に同意する事はできない。
■身元引受・連帯保証
入居の際に求められる身元引受人や連帯保証人になる事はできない。
■身分上の行為
結婚や離婚、遺言などを本人に代わって行う事はできない。
■介護や家事援助
食事や着替えの身体的な介助、洗濯や掃除等も行う事はできない。
■居所の指定
本人の住む場所を指定する事はできない。
以上の要件は、成年後見制度を活用しても、後見人本人には求める事はできません。
後見制度の流れ

制度概要を説明してきましたが、実際に活用する上で、知って頂きたい事をお伝えします。
窓口を知ろう

どこに相談に行けばいいの?
制度の利用を考えている人は、どこに相談に行けばいいのでしょうか?
ご参考にしてください。(※お住まいの市区町村によっても多少の違いがあるかもしれません)
■市役所や区役所、町役場
高齢者・障碍者に関する担当課が業務を担当しています。
■社会福祉協議会
市町に設置された公的な地域福祉活動を推進する期間です。
■障碍者相談支援事業所
市町から委託をされた公的な機関。
■地域包括支援センター
高齢者の暮らしや介護を支援する公的な機関。社会福祉士などが在籍しています。
■各都道府県の弁護士会
弁護士法に基づく法定団体。
■リーガルサポート
高齢者、障碍者等の権利擁護および福祉の増進に寄与する団体。
etc
手続きについて

家庭裁判所に申し立てに行く必要は分かったわ。
その時に、持参する書類等は何があるの?
住所地を管轄する家庭裁判所への申立てを行います。
手続きを進めていくうえで、必要となる書類等をチェックしておきましょう。
●申立書
●診断書(成年後見用)
※家庭裁判所や裁判所ウェブサイトからも入手できます(添付しておきます)
●申立手数料(1件につき、800円分の収入印紙)
●登記嘱託手数料(2,600円分の収入印紙)
●郵便切手
●本人の戸籍謄本
●鑑定料(鑑定を行う場合。約5~10万円) etc
書式ダウンロード(後見等開始・選任申立書式) | 裁判所 (courts.go.jp)
申立て後、約1~3ヶ月で決まるとされていますが、ケースによっては3ヶ月以上経過する事もあるようです。
また、手続き自体を専門家(弁護士など)に依頼する事もできますが、費用(10万円程度)が掛かります。

担当の後見人はどんな人⁉
家庭裁判所が、本人にとって最も適任だと思われる人を選任します。
あくまでも後見人を決めるのは家庭裁判所なので、希望通りの人が担当になるとは限りません(*_*;
親族後見人
配偶者、親、子、兄弟姉妹などの4親等以内の親族。
全体の3割程度が該当しているようです。
- 本人の事(過去の事など)をよく理解している。
- 本人と関りが長く、希望を叶えやすい。
- 受診などがスムーズ。
- 金銭面や相続などにより、トラブルに発展することも。
市民後見人
専門的な講座を受講し一定の知識を有した一般市民。
専門職不足への対応を主な理由としてつくられた。
- 本人と同じ地域で生活しており、一般市民としての目線を活かした支援。
- 定期的に訪問する。
- 知識は不十分でも、社会福祉協議会などの支援を受ける事で、適切に活動ができる。
専門職後見人
弁護士や司法書士、社会福祉士などの国家資格を有している専門家。
- 財産管理が難しい場合に対応ができる。
- 訴訟などの法的な問題を抱えている場合でも対応ができる。
- コミュニケーションがとりにくい場合や、福祉的課題が多い場合でも対応ができる。
後見人をサポート
とは言え、予定されている後見事務が複雑困難である場合は、成年後見人などをサポートする為に、専門家(弁護士や司法書士など)を後見監督人等に選任することにより、制度が適切に進められるよう支援策が取られています。
後見人に対する費用
後見人に対して、本人の財産から支払いが発生します。
目安としては、月額2万円程度と言われています(本人の財産状況などを考慮して、家庭裁判所が決定します。決して裁判所の許可なく、財産の報酬を受け取り事はいけません。)
基本的には1年分をまとめて、1年後に支払うことになります。
定期的な報告が必要
本人の財産を管理する義務があり、後見人等が不正な事をしないよう、家庭裁判所が適切に対応ができているのかをチェックしています。
一般的には、1年に1回、決められた時期に報告をします。
万が一、不適切に管理した場合は、解任されたり、損害賠償請求を受ける等、民事責任を問われる事も。
まとめ

ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
❶制度の概要
❷支援内容
❸支援までの流れ
以上です。
以前に比べると、成年後見制度の認知度も上がっているように思えます。
制度を知る事で、ややこしい内容にも触れますが、仕組みを少しでも理解しておくと安心できます。
判断能力に不安があり身寄りがない人や、身内に認知症で一人暮らしをしている人がいる親族など、ご心配でお困りの事は、まず窓口に相談してみて下さい。
【参考文献】
厚労省:成年後見制度
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