
どうも、ケアニンあがちょ(@careninagacho)です(^^♪いる
介護の仕事をしていている中で、誰もが経験をしているだろう感じる事があります。
それは、言葉による拘束と呼ばれる『スピーチロック』です。
言っているスタッフ本人はそんなつもりはなくても、厳密に言うと拘束に当てはまってしまう言葉掛けなんですよね(゚Д゚;)

今回は、何気ない一言でありながら、気を付けていないと拘束する原因となるスピーチロックについて解説します。
●身体拘束は禁止だが、例外的な理由について。
●こんな言葉かけしていない?スピーチロックあるある。
●スピーチロックをしない心掛け。
スピーチロックとは何か

スピーチロックを聞いたことはありますか?
スピーチロックとは、言葉による拘束の事です。
すなわち、言葉によって相手の行動や行為に制限を掛けて、動けなくしてしまう事です。
普段から利用者と接していると、とっさに言ってしまった経験者も少なくないと感じます。
中には、イジワル的にわざと言う人もいないとも限りませんが、多くの場合は、利用者の安全の為と思って発している言葉ですので、悪気はないとは思います。
「先輩がああやって言っていたから・・」「同僚が同じように声掛けしていたから・・」
そんな、施設の風潮が常態化することによって、雰囲気や職場環境の低下を招きかねません。

自分自身の関り方や声掛けについて、今一度立ち止まって考えてみる事も大切な時間です。
拘束は何故いけない⁉
改めて拘束の意味は、
拘束とは、とらえつなぐこと。自由を制限する事。
引用:コトバンク
相手が動きたい事、やりたい事に対して制限を掛けて、思うように行動をとれないようにしてしまう事ですね。
身体拘束は禁止されている理由
そもそも、身体拘束は何で禁止されているのでしょうか。
2000年に介護保険がスタートした時に、厚労省は介護保険指定基準に身体拘束の禁止規程を盛り込んでいます。
これにより、介護施設などでは原則禁止となっています。
禁止の理由
身体拘束は、本人の身体の機能低下や、精神的な苦痛、認知症の進行に拍車を掛ける事が危惧されます。
また、家族にとっても精神的に傷つき、決して気持ちの良いものではありません。
施設側にとっても、社会的不信や偏見などの危険性をはらんでいます。

「施設を探しているけど、○○施設は老人を縛っていると噂で聞いたことあるから、家族を入れたくないな~」
例外的な理由
原則っていう事は、何か例外的な理由があれば、拘束しても許されるという書き方になっています。
この理由に関してが重要です。
次の3つの理由が該当し、例外的に『緊急やむを得ない』と判断される場合には、署名による本人又は家族の確認・同意の上で身体拘束が許されています。
❶切迫性
利用者等の生命または身体が危険にさらされる可能性が極めて高い状態。
❷非代替性
他に代替する介護方法がない場合。
❸一時性
行動制限が一時的なものである場合。
同意をもらったからと、いつまでも同じように身体拘束をしていて良い訳ではありません。
拘束解除に向けた体制つくり、拘束をしない取り組みに努める必要があります。
拘束にも種類がある
拘束には、いくつかの種類があります。
■スピーチロック:言葉によって制限を掛けること
「そこに座ってて!」「歩かないで!」「止めて下さい!」などの言葉によって行動制限を掛ける。
■ドラッグロック:薬によって制限を掛けること
精神科などの過剰な薬の処方と服用により、今まで出来ていた行動がとれなくなってしまう。
■フィジカルロック:物を使って制限を掛けること
車椅子から立ち上がれなくする(T字型抑制帯の使用)、着衣の着脱をできなくする(つなぎ服の着用)、点滴などを抜かないようにする(ミトン手袋やバンドで縛る)など。
スピーチロックあるある

介護業界においても、言葉かけ一つで、身体拘束に繋げてしまっているという認識はまだまだ薄いと感じます。

いつも当り前の様に発している言葉・声掛け内容を改めて考えてみましょう。
人によっては、普段から使っている言葉もあるのでは・・ (-_-;)
「そこにいて!」
特に転倒リスクの高い人、徘徊行動の目立つ人に対して発しているケースが多い。
転倒を懸念して、とっさに発している事で、決して悪気はないと思いますが。
相手からすれば、動きたいのに自由を奪われていると感じる。
重たく言えば、自由に動く権利を侵害しているケースですね。
「やめて!」
「一人で歩くのはやめて下さい!」「勝手に食べないで!」
危険を察しての言葉でしょうが、動作を禁じている言葉なので、これも厳密に言うと拘束になる訳ですね。
「どうしてそんな事をするの!」
認知症が進んでいる人の場合、介護者側が思ってもみない様な行動をとられる場合があります。
でも、本人側は理由があっての行動でもある。
相手の行動理由を聞いているというよりかは、結局は相手の行動を罰しているような言葉なので、身体拘束に当たるとも捉えられる。
スピーチロックしない為に対応策を考える
誰もが、利用者本人の安全を考慮して発している言葉だとは思いますが、ついつい出てしまう人も少なくないでしょう。
では、スピーチロックに繋がらない為の言葉掛けを考えましょう。
例えば、

「一人で歩くのはやめて!」
相手の行動を一方的に制止している事になるので、

「お手洗いですか?一人で歩くと不安定なので、一緒に歩きましょう。」
少し表現を変えるだけでも、歩く行動に対して制限を掛けていない為、一方的な制止ではなくなります。

「危ないから、そこにいて!」

「○○さん、散歩ですか?私も一緒に行っても良いですか?」
「○○さん、どうされました?転ぶと危ないので、歩行器を持ってきますね」
こちらも同様です。行動を押さえつけずに、相手に選択肢を提供する事も良い方法ですね。
環境・業務の見直し
ついついスピーチロックをしてしまう事を軽減する為にも、施設内の環境や業務を見直す事も重要です。
例えば、異食行為(食べれない物を口にしてしまう)が目立つ人が居るのであれば、手に届く場所に危険な物を置かない事は必須でしょう。
余りにもフロア内が殺風景になったり、業務効率が悪くなる事も良くないので、しっかりと検討して下さい。
また、介助の順番を見直す事も一つです。
恐らく、多くの施設では、就寝介助に入る時間は夜なので、スタッフも決して多い時間帯ではありませんよね?
見守り体制が手薄になる事で、転倒リスクを危惧して、利用者にはその場から離れないで欲しいとの思いから、スピーチロックしてしまうかもしれません。
であれば、転倒リスクの高い利用者から就寝介助に当たるとか、順番を考慮するのも一つですね。
特に夕暮れ症候群もある夕方から就寝前の時間帯は、スタッフ配置をアツくする等の業務時間の調整も考えるべき対策です。
結局のところ、多くの場合は業務負担により気持ちにゆとりがなく、言葉かけが雑になってしまっているケースもあるのでは・・
忙しい事を理由に「利用者への声掛けが雑になる」と言う人は考え方を改める必要がありますね。
まとめ

ここまでお読みいただきありがとうございました。
身体拘束は、明らかに道具を使用したり、視覚として行動を制限している場合には分かりやすいですが、スピーチロックには厳格なルールが無い為、分かりずらさを感じるのでしょう。
その為、意識していないと「ついつい出ちゃう」言葉かもしれません。
相手の意思や尊重する声掛けを意識することが、スピーチロックを軽減させていく上での必要な考え方なんだと理解して頂ければと思います。
【参考文献】
ワムネット(福祉医療機構)
介護保険 – 身体拘束ゼロ作戦 – 身体拘束ゼロへの手引き~高齢者ケアにかかわるすべての人に~(案) (wam.go.jp)
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