
どうも、ケアニンあがちょ(@careninagacho)です(^^♪
皆さんの職場には、いつも高圧的な先輩やお局様、セクハラ的な上司、または利用者家族などはいませんか?
介護の仕事にやりがいを感じながらも、周りから受けるストレスにより、仕事が嫌になってしまう人も少なくありませんよね。
人手の少ない介護業界としては、とても残念な事です。

今回は、仕事上におけるハラスメントへの対策を考えてみたいと思います。
ハラスメントとは

ご存じだとは思いますが、ハラスメントとは『嫌がらせ、いじめ』の事を指します。
ちなみに、ハラスメントとされる種類はいくつあるかご存知ですか?
その数、なんと36種類⁉
知らなかったですよね。
その中でも、よく取り上げられる3大ハラスメントというのがありますので、改めて確認しましょう。
3大ハラスメント
パワハラ(パワーハラスメント)
ハラスメントの中でも代表格がパワーハラスメントではないでしょうか。
都道府県には相談窓口が設置されていますが、年々パワハラに関する相談が増えている様子です。

「嫌がらせ、いじめ」に関する相談件数が、平成16年には1万5千件弱でしたが、平成28年には7万件を超えてきています。
増加の一途をたどっている状況ですね。
そんな中、2020年6月には、パワハラ防止法が強化されました。(中小企業は2022年4月1日~義務化となる)
職場におけるパワハラについて、厚労省からの説明では、
❶優越的な関係を背景とした言動
❷業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
❸労働者の就業環境が害される
❶~❸の要素を全て満たす場合について、パワーハラスメントが成立します。客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる指導などは該当しないとされています。
指導者側は、指導とパワハラの違いを知っておく事で、パワハラに値しないように注意することもできます。


まだ入社して間もないのに、あの先輩から、いつも酷いことを言われます。
職場内だけにとどまらず、関係のないプライベートにまで悪い噂を流したり、ありもしない事を面白おかしく広めたりすることもNG行動です。
個人情報の守秘義務を忘れずに。
セクハラ(セクシャルハラスメント)
セクシャルハラスメントとは、相手の意に反する性的な言動の事を指します。
セクハラは2つに分類されます。
❶対価型セクシャルハラスメント
職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否した事で解雇、降格、減給などの不利益を受ける事。

食事に誘っても断るし、そんなに嫌がるなら別の部署に異動してもらう事になるぞ!
❷環境型セクシャルハラスメント
性的な言動が行われる事で、職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に大きな悪影響が生じる事。
性的な発言としては、「いつ結婚するの?」「子供はいつ生むの?」などの質問も該当します。
行動としては、直接体に触れてくる事は当然ですが、しつこく食事に誘ったり、卑猥な写真を見せたりする事もセクハラになります。
マタハラ(マタ二ティーハラスメント)
妊娠を報告し、産休・育休について相談した場合など、マタニティに関する事によるハラスメントを受けるケースです。
❶制度等の利用への嫌がらせ型
産前休業、育児休業などの制度の利用に関する言動により就業環境が害されるもの。

妊娠しましたので、○○月頃からお休みを頂きたと思っています。

じゃ~他の人を雇いから、早めに辞めてもらうしかないね!
❷状態への嫌がらせ型
女性労働者が妊娠した事、出産した事などに関する言動により就業環境が害されるもの。

また休むの?妊娠したからって休み過ぎじゃないの。ズルいわね。
こんな嫌味を言われる先輩とは、一緒に仕事をしたくありませんよね。
それから、有期雇用で働いていた人の場合、妊娠・出産を期に労働契約を更新しないなんていう対応であれば、これもマタハラに該当します。
ハラスメントがもたらす影響
ハラスメントによる影響は決して小さくありません。
ハラスメントをしている側(加害者)は、周囲にどのように悪影響を及ぼしているのかを自覚する必要があります。
ハラスメントを受ける側(被害者)
心身の健康に悪影響を及ぼすことで、業務に支障が出ますし、能力低下や生産性も低下していきます。
自信を失くしたり、やる気も意欲も低下していき、うつ状態になりかねません。
その家族や周囲にも大きな影響を与える形となります。
職場環境
雰囲気の低下、士気の低下がサービスの質を落とします。
組織への不信感から離職につながり、新しく募集をかけても、嫌な噂が災いしてなかなか雇えない、そしてまた一人辞めていく・・・
そんな事も考えられますね。
ハラスメントは、上司や先輩だけじゃない

介護業界におけるハラスメントに関しては、なにも組織の中の人だけが対象ではありません。
特に利用者宅へ訪問をするヘルパーやケアマネジャーなどは、基本は一人で訪問することが多く、周りから目が入らない状況になるので、ハラスメント行為が行われやすい環境下と言えます。
2018年に日本介護クラフトユニオン(NCCU)によるアンケート調査の結果、利用者及びその家族から何らかのハラスメントに合ったという人が74.2%もいたことが明らかになりました。
その内、9割の人が精神的なダメージを受け、一部の人は精神的に追い込まれてしまった様です。
利用者

「女は言われた事をやればいいだッ!」
「ワシの言う事が聞けんのか!」
女性ヘルパーに対してセクハラ行為をしたり、男尊女卑の考えを未だに持っているような人であれば、ひどい言葉を投げる人もいるようです。
言葉によるハラスメントだけではなく、手を出されたり、物を投げつけられる等の暴力行為を受けた人もいます。
こうなると、怖くて二度と一人では訪問ができなくなります。
利用者の家族

「ケアマネは何でもしてくれるんでしょ?何でこんな事もやらないの!」「毎日来て様子見てよ!」「使えないヘルパーね!」

ヘルパーやケアマネは『何でも屋』ではありません!
ヘルパーもできる事、できない事が決まっていますし、ケアマネジャーも何でも屋ではありませんので、必要以上の求めに応じれる訳ではありません。
また、家族から受けるセクハラ行為も大変問題となっています。
怖いケースが、訪問後にカギを閉められる、ジッと見られる、卑猥な事を聞かれるなどの報告もあるようです。
担当したヘルパーは、きっとトラウマになってしまう事でしょう。
他のサービス事業所

「また実績間違えてますけど!ホントにダメですね!」
「あなたが居る事業所はひどいですね。」
居宅介護サービスを行う上では、地域のサービス事業所との連携が必要です。
相手の事業者が何度もミスをすれば、怒れるのも無理はありませんが、罵倒したり、けなしたりすることは望ましくありません。
連携も図れず、孤立してしまう事も。
部下や後輩
パワハラと言うと、どうしても目上の者(強い立場)から目下の者(弱い立場)へのハラスメントと思いがちですが、実際には逆のパターンもある訳です。
通常の逆ハラスメントなので、逆ハラとも言われているようです。

あなた上司ですよね?そんな事も分からないんですか?頼りになりませんね!
こんな事を言われたら辛いですよね。
ハラスメント対策について
前述の通り、2020年6月にはパワハラ防止法が強化された訳ですが、浸透していない感じも否めませんよね。
『ハラスメントはいけない事』だという認識・理解を浸透させ、抑止力としていくための対策を考えましょう。
対策❶:定期的な勉強会
毎月の会議で、ハラスメントについての勉強会を行う。ハラスメントのマニュアルを作成し、スタッフで読み合わせながら共有を図る。特に、ハラスメントを受けた際の初動マニュアルは必要です。もしかしたら、新人ヘルパーが利用者宅でハラスメントを受けているにも関わらず、ハラスメントの理解が乏しい場合もあります。
対策❷:言いずらい環境を解消する
ハラスメントで悩んでいても、相談できる相手が施設内にいないかもしれません。組織としてハラスメントを無くしていく為にも、直通箱のような物を設置し、本部(女性スタッフ)や代表者に相談内容が直接届く仕組みを作っておく事も。
対策❸:利用契約時に周知
サービス利用の開始前には、必ず契約を取り交わしているはずです。契約書や重要事項説明書にハラスメントに関する内容を記載をし、場合によっては契約解除や行政へ相談する事なども説明しておきましょう。
対策❹:行政等との連携
利用者や家族によるハラスメントに関する対応は、施設だけで抱え込まずに地域包括支援センターや行政の担当窓口にて相談するようにしましょう。会社によっては顧問弁護士もいますので、必要な手段を講じましょう。
対策➎:記録やボイスレコーダーの使用
普段から介護記録は付けていると思いますが、介護記録とは別でハラスメントを受けた際の記録を残しておきましょう。記録は5w1Hで記入。また、言った言わないの「水掛け論」になりやすいので、ボイスレコーダーは有効です。スマホで録音機能が付いていますので活用できます。相手に承諾を得ずに録音する行為には、「秘密録音」「盗聴」とありますが、自分がその場にいて録音(秘密録音)しても違法ではなく、責任を問われる必要もありません。
ハラスメント行為への責任

実際にハラスメントをしている人は、どのような責任を問われる場合があるのでしょうか。
■刑事責任の場合
例えば、著しいパワハラ行為に与えられ責任として、
●暴行罪 ●傷害罪 ●脅迫罪 ●名誉毀損罪 ●侮辱罪
セクハラ行為として考えられるのは、
●強制わいせつ罪 ●強制性交罪
などが該当すれば懲役刑や禁固刑等により処罰されます。
■民事責任の場合
刑事罰に当たらない程度だとしても、例えば長期に渡り嫌がらせをしたり、ネチネチと叱責するような場合には、被害者の人格権を侵害する不法行為として、損害賠償責任を問われる事もあります。
民事や刑事責任に該当するような行動をとっている人は、周りからの信頼や信用も無くしたり、会社の服務規律違反として懲戒解雇に値する事もありますので、社会的責任は大変重いものとなります。
まとめ

ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
「昔はこれぐらいは言われて当然だった」「仕事だから上司が言う事が絶対!」
もし、そんなセリフを聞く事があるかもしれません。
まだまだ精神論だけで指導・教育をしようとする時代錯誤の上司・組織からは、いち早く抜け出す行動が必要かもしれませんね。
【参考文献】
厚生労働省:職場におけるハラスメントの防止のために
職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント (mhlw.go.jp)
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