
どうも、ケアニンあがちょ(@careninagacho)です(^^♪
KYTって聞いたことはありますか?
これは、危険予知訓練(キケン・ヨチ・トレーニング)の事を指します。
高い所に上る人や危険な機械を使うような仕事であれば、特に危険にさらされる事だってあります。
事前に危険を予測し、事故を未然に防ごうという目的ですね。
これは介護の仕事上でも必要なリスクマネメントになります。

介護の仕事をする上で、KYTを効果的に活用しましょう。
気づきの感性を磨く

自宅でも外出先とかでも、転びそうになったり、ぶつかりそうになったりして「危ないッ」って感じた事は誰でもあるんじゃないかと思います。
日常生活の中では、どこに何があるか分からないものですよね。
若くても、転ぶ時は転びます。
それが介護を必要としている高齢者であれば、尚更の事です。
認知症になって周りの状況把握が乏しくなってくる事や、足腰の衰えにより足が思う様に上がらない事など、さまざまなリスクが増えていきます。
でも、介護をする側としては、「転んで当り前」「ケガしても仕方ない」と思いながら介護提供はしていませんよね?
できれば転ばずに安全に生活をして欲しいし、アンテナを張って危険を回避するように努力が必要です。
それが安全配慮義務というものです。
ここで出て来るのが、KYTです。
KYTは、危険に気づく能力(気づきの感性)を磨き、視点を強化する為のトレーニングとして合理的な訓練手法と言われています。
KYTをやってみよう

KYTを取り入れてやったことがある人もない人も、定期的にトレーニングする事をお勧めします。
まずは進め方
まずはKYTを行う上で意識して欲しいこと。
●正解、不正解はない。否定や反論はしない。
「その視点は違う」「間違えた事を言ったらどうしよう」なんていう気持ちは必要ない。
●間違い探しではない。
イラストは意図的に作成しています。想像力を発揮して危険を思い浮かべる事が重要。
少人数で役割分担
KYTを行う際は、少人数(5名程度)で1グループとして下さい。
司会(リーダー)、書記。
いくつかグループがあれば、発表者も決めておきましょう。
4ラウンド法で行う
4ラウンド法での進め方について説明します。
先に表を作っておくと、記入がスムーズです。
1ラウンド:現状把握する(どんな危険が潜んでいるか) 1)まずは、司会が記載されてる状況を読みます。 2)「危険要因」と危険によって引き起こされる「想定される事故」を参加者で挙げていく。 3)「○○なので、○○になる」「○○して、○○になる」といった形式で記述する。 4)少なくても5項目異常は挙げる。
2ラウンド:原因追及(これが危険のポイント) 1)1Rで挙がった中で、特に危険な項目に◎印を付ける。 2)◎印は2項目ぐらいを目安に。
3ラウンド:対策(あなたならどうする) 1)2Rで挙げた◎印に対し、具体的な対策を決める。各3項目を目安。 2)合計で5~7項目を目安。
4ラウンド:目標設定(私たちはこうする) 1)3Rで出た対策の中で、特に重要なものに※印を付ける。 2)重点実施項目から、グループの行動目標を決める。

トレーニングを進める流れが分かったところで、早速やってみましょう!
イラストを見てトレーニング開始
では、さっそくイラストを見て危険予測をしてみましょう。
人それぞれ感じ方の違いもありますので、何が正解で何が不正解という事は抜きにして、「○○になるかもしれないっ」っていうイメージを持つことが大切です。
(例1)介護施設における食堂での場面

どうでしょうか。キケンな臭いがプンプンしていますか?
では、いくつか考えられるリスクを挙げてみたいと思います。
■危険要因と想定される事故
●「奥のおじいさんがポットのコードに足を引っかけて転んでしまう。」
●「転んだ拍子で、お茶をこぼしてしまい、手足に火傷をしてしまう。」
●「手前右側でウトウトしているおじいさんが、テーブルに顔を打ちつけてしまう」
●「左から来たおばあさんの車椅子の高さ調節できておらず、テーブルに膝をぶつけてしまう」
●「おばあさんの膝掛がタイヤに絡まってしまい、その反動で転落してしまう」 etc
このように、イメージすると「●●かもしれない」っていう危険項目が出てきます。

「それは、あり得ないでしょっ・・」「そんな訳ないじゃん。」
先述の通り、トレーニング中において否定や反論は✖です。
(例2)介護施設における廊下での場面

今度はいかがでしょうか。
こちらもイメージする危険項目を挙げてみましょう。
■危険要因と想定される事故
●「奥から歩いてくるおばあさんが、廊下に置いてある車いすの車輪に引っ掛り、転んでしまう」
●「おばあさんが車いすを避けようとして、よろけて転んでしまう」
●「おばあさんと、手前の部屋から出て来るスタッフが出合い頭に、ぶつかってしまう」
●「スタッフが点滴スタンドにつまずき、転んでしまう」
●「認知症のあるおばあさんが異食行為があり、観葉植物を食べてしまう」 etc
いくつかイメージできましたか?

「このおばあさんは大柄の人だから、体重もあって膝への負担も大きい。普段は歩行器を使用しないといけないのに、独歩だから今にも転んでしまいかねない・・」
知っている誰かに重ねてイメージすると、より具体的に注意点が見えてくるかもしれません。
トレーニングのポイント
さらに効果的に活用するには、以下のポイントを押さえておくと良いです。
❶イラストのスタッフになったつもりで考えること。
イラストを見た際に、その場に出くわしたかのようなイメージを持って取り組みましょう。
❷曖昧な表現ではなく、事故の型で絞ったり、具体的に表現する。
「○○ケガをするかもしれない」ではなく、「○○して転ぶ、○○で溺れる、○○のため火傷をする・・」みたいな感じで。
「無理な体勢なので・」「不安定なので・」ではなく、「中腰で持っているので・」「爪先で立っているので・」という表現にすると良い。
❸危険要因を「なぜ」を繰り返して掘り下げていく。
先程の(例1)の場合で掘り下げると・・
・「ポットのコードが垂れている」状況を見て、「足を引っかけて転ぶ」とイメージした。
・→ なぜ「引っ掛る」のか。ポットのコードが無造作に垂れているので、テーブルに近づいた時に引っ掛けて転ぶ。
・→ なぜ「無造作に垂れている」のか。※ポットを置いたスタッフが気にせずにセットしたので、コードが垂れたままとなり、テーブルに近づい時に引っ掛けて転んでしまう。
(※)この部分が危険要因となる。
KYTに取り組む効果

KYTに取り組むには、スタッフの協力や時間が必要になりますので、やるからには『やる意味と効果』がなければ続きません。
◎KYTに取り組む効果
✅さまざまなシチュエーションのイラストを使い、繰り返し行う事により「風呂場では、特に●●に気を付ける必要がある」「食堂の環境は、●●に注意しないといけない」と、場面に応じた気づきの感性が磨かれやすくなる。
✅想像力を働かせる時間が作れる。頭の体操になります。
✅スタッフ同士のコミュニケーションを活発になる。介護提供するチームとしてコミュニケーションはとても大切です。日常業務において、スタッフ同士での『危険』に関する情報共有がしやすくなります。

スタッフ一人ひとりが、気づきの感性を磨き、事故を未然に防ぐことができれば、利用者とスタッフを守ることになります。KYTの最終的な目的ですね!
環境要因によるリスクを下げる為にも、日頃からの安全面に配慮した環境整備や動線の確保にも意識できると良いです。
参考資料
まとめ

ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
今回はKYTについて説明してきました。
特に浴室は床が濡れている場所だから、スタッフは転ばないように注意喚起したり、手引き誘導したりと危険感知アンテナを張ります。
でも、フロアや玄関周りだって水で濡れている事だってあります。
「今日は雨降りだから、いつも以上に床を気にしておこう」「Aさんの車椅子のブレーキの利きが悪いから修理に出しておこう」
毎日同じことなんてありません。昨日は○○だったけど、今日は違うかもしれません。
そうやって利用者の健康状態も変化しますし、施設環境だって変化します。
だからこそ、利用者には安心して生活を送ってもらう為にも、常に気づきのアンテナを張っていなければいけませんよね。
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